PPSE'79 Ver.3
使用方法を説明します。
下に開発秘話とVer.3で何が変わったか書いてあるのでまた読んでみてください。
3つのつまみ
トーンコントロール、ゲインコントロール、ボリュームコントロールのシンプルな3ノブ構成です。直感的に使いやすいようになっておりますが、少し説明させていただきます。
Tone
音色を調節します。トレブルコントロールに重きをおいたToneになっております。PPSE’79では、本家TSよりもプレゼンスをもちあげています。左に振り切った状態からトレブルを足していくという感じで操作すると使いやすいです。
Gain
歪みの量を調節します。深く歪ませると低音が大きく聞こえます。ハイゲインで使う際にはToneを右へ回しながらお使いのギターにあったポジションを探してください。
Vol.
音量を調節します。通常はバイパス音と音量のバランスを取るように調節しますが、時計回りに回してソロ時のゲインアップとヌケ感を与えるハイミッドブースターとしても使えます。
回路構成
ベースになった回路は、1979年に日本が世界に送り出したTube Screamerです。ベースになったとはいえ、実際の回路はかなり異なったものになっています。TSのミッド感、抜けの良さ、スムーズさはある程度残し、トーンの効き方や、クリッピング、電源回路を大きく変更しています。
電源回路
チャージポンプICを使って負電源を作っています。これによりエフェクターではちょっと珍しい両電源駆動になっております。また、新規に追加された電源回路により内部電圧を一定に保っております。
クリッピング
シリコンダイオードによる2対4のちょっと珍しい非対称クリッピングとなっております。これにより偶数次の倍音も豊富に出ているので、通常の対称クリッピングより倍音感が溢れでています。
コンポーネント
使用しているパーツはかなりこだわっています。このパーツのこだわり具合で、この価格で出せているのはうちだけかも知れません。安い理由は学生さんにも使ってほしいという思いと、うちのブランドを知ってほしいという思いを込めて価格設定しているからです。原価率高いよ…
抵抗
熱雑音については、抵抗の種類で有意差はありませんが、電流雑音を考慮し薄膜抵抗を主に採用しています。
コンデンサ
周波数設定に関係するところは個体差を考慮し、精度の高いものを使用しています。電源用のコンデンサは、220uFと大容量で低ESRのものを使っており、電源ノイズを減らしてくれています。PPSE’79では電源回路が音作りの根幹を支えています。
オペアンプ
増幅回路のオペアンプは、アナログ・デバイセズの高級オーディオ用ICのOP275を使用しております。解像感もあり今回のコンセプトに最も適しているという判断から選定しております。
仕様
- 入力インピーダンス: 約1MΩ
- 電源: 9VセンターマイナスACアダプター or 9V電池006P
- 消費電流: 約10mA
- 寸法: 122mm(D) x 67mm(W) x 40mm(H) 突起物は含まない
保証
適正な使用範囲内での自然故障につき、本書に記載のお買い上げ日より3年間無償修理とさせていただきます。学生さんは、学生である限り保証期間関係なく修理は無料です。修理のご相談やその他のご質問は下記のメールアドレスにお問い合わせください。
お問い合わせ先: LAB@vin-antique.com
開発秘話
どうも、代表のMiyazakiです。手にとっていただきまして本当にありがとうございます!毎度おなじみのPPSE’79の開発にまつわる話を少ししたいと思います。お前の話はどうでもええねんという方は、下までいってもらうと使用方法の説明があります!
さて、このPike Place Smoky Emerald ’79(PPSE’79)という名前は、アメリカのシアトルにあるPike Place Marketという市場に由来しています。このPike Place Marketは、くすんだ緑がいろんなところに使われていて、すげー良い味出してるんですよ。
実は昔、シアトルにいたことがあるんですよね。シアトルにいたと言ってもほんのちょっとだけなんですが、ここでの経験が結構今の僕を作っています。アメリカに行かせてくれた母方の祖父には本当に感謝しています。じーちゃんありがとう!
そんなこんなで、初めてエフェクターを売るときは、シアトルに関係したものを名前に入れようと思ってました。
- シアトルに関係するもの
- TS系だし緑っぽい色がいい
この2点から筐体をPike Place MarketぽいSmoky Emerald Green色に塗装してPike Place Smoky Emerald ’79と名前をつけました。
長いのと若干中2くさいので、普段はPPSE’79と表記していますが、実はそういう裏話がありました(笑)ちなみに’79は本家TSの生まれ年、1979年を意味しています。
よく聞かれる安い理由ですが、ただ単に僕が利益を取っていないだけです…値段が安いからって初心者用とか勘違いしないでください!あと本気で作ってるので、コスパ最強って言われるのもちょっと悲しかったりします
よろしゅうお願いします!
Ver.3で何が変わったか
Ver.3はマイナーアップデートではなく、メジャーアップデートです。以下の5点が今までのPPSE’79と比べて変わっています。
- アルミ削り出し筐体になりました
- 原点回帰スイッチが付きました
- 電源回路が強化されました
- トゥルーバイパスになりました
- トーンの可変幅が広がりました
アルミ削り出し筐体
通常、エフェクターの筐体はアルミダイキャスト筐体です。なんとVer.3からはアルミ削り出し筐体になりました。これはアルミのブロックからアルミを1つずつ削り出して作る時間もコストもかかる筐体です
削り出しは筐体の設計の自由度が高いです。今回使用している筐体も専用設計です。基板の形にピッタリ沿うようになっています。
また、アルミ削り出し筐体は非常に精度が高く質も良いです。それとバリ取りやアルミの微粉を除去する必要がなく、生産効率がとてもあがります!
ダイキャスト筐体と比較して、原価としては1.5倍から2倍するのですが生産効率を上げることで実質的な原価としてはそれほど上がっていません。
何より筐体が美しいんですわ。
原点回帰スイッチ
Ver.1に音色を近づけるためのスイッチです。お使いのギターによってはこのスイッチをオンにしてVer.1のコンセプトあふれるサウンドにしてもらったほうがハッピーになるかもです。
どうしてもたくさんの人に使ってもらおうとすると、若干個性を抑える必要があります。Ver.2もVer.3もより多くの人に使ってもらいたい気持ちから、Ver.1の荒々しさをおとなしくしてます。
でもやっぱりVer.1の荒々しさ、あれはれで良かったよねという場合があるので、このスイッチをオンにすることで暴れん坊のVer.1を穢土転生できるわけです。
ギター本体のToneを積極的に触る人はこのスイッチをオンにしたほうが良いと思います。
電源回路の強化
PPSE’79は両電源駆動です。内部のチャージポンプICで負電源を作っています。
ただ、このチャージポンプICの耐圧が12Vなんですね。ケンタウロスなんかも大体故障する原因はこのICに耐圧を超えた電圧をかけたことが原因です。
Ver.3は9V以上がかかると9Vにする回路が入ってます。厳密には8Vぐらいにする回路です。なので12V以上かけても壊れませんが、特に意味はないのでやらないでください。無駄な電力を消費するだけです。パワーサプライの超小型版が入っているイメージです。
LEDで定電圧を作りその電圧を使って電源電圧を一定に保つ回路を入れています。この回路は電源のインピーダンスとノイズ量を下げることにも寄与するので、Ver.1、Ver.2と比較して圧倒的に高性能な電源になっています。
今回新しいスイッチを採用したことで、そもそもポップノイズが静かなのでトゥルーバイパスにすることにしました。また押し心地も良くなりました!
トゥルーバイパス
Ver.2までは、ポップノイズを出さないためにトゥルーバイパスにあえてしていませんでした。
今回新しいスイッチを採用したことで、そもそもポップノイズが静かなのでトゥルーバイパスにすることにしました。また押し心地も良くなりました!
Toneの可変域
Ver.1、Ver.2とトーン回路に変更はなかったのですが、アルミ削り出し筐体になったこと電源が強化されたことによって音色が少しHi-Fiな感じになったのでそれに合わせてTone回路の効き方微調整しました。より高域をカットできるようになりました。
ブースターとして使う場合はToneを絞ることが多いので、この調整は意外とアリでした。